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村上睦/俳句の可能性(2)


俳句の可能性(2)


TOSS福井 村上睦

概要
中3光村。野澤節子「せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ」の句で、内容の読み取り、鑑賞文を扱う。教師が書いた鑑賞文を視写させ、自分で書ける生徒には自分で書かせた。2回目なので、自分なりの鑑賞文を書ける生徒が増えた。


 内容の読み取り


板書
せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ  野澤節子

ノートに写したら小さい声で3回読みなさい。

その後、追い読み、一斉読みで数回読む。

全員起立。覚えたら座りなさい。


季語は何ですか?

「せつせつと」「濡らして」「髪洗う」が出る。
「髪洗う」であることを教える。

季節はいつですか?

「夏」

作者は何をしているのですか?

髪を洗っている。
(俳句はほとんど作者=話者なので、ここでは特に区別せずに扱った。)

作者はどんな思いで髪を洗っているのでしょうか?

ノートに書かせて持ってこさせ、板書させる。
・暑いのでさっぱりしたい(多数)
・悲しい気持ち(2名)

補足
季節が夏であることを押さえた上で考えさせたので、「暑い」というイメージが強くなったと考えられる。

この句のポイントは「せつせつと」という言葉です。

「せつせつと」とはどういう意味ですか?

辞書を調べさせた。
・心に強くせまる様子

漢字で書くと「切々と」であることも確認する。

「切々と」の「切」は切実の「切」です。何か心に迫るような強い思いがある様子を表しています。


もう一度考えます。作者はどんな思いで髪を洗っているのでしょうか?

列指名で聞いた。
ほとんどが「悲しい気持ち」という答えであった。

補足
「作者のおかれている状況を、いろいろ想像して考えなさい」と指示したが、単に「悲しい気持ち」という答えがほとんどであった。

 鑑賞文


たとえば、こんな想像をしてこの句を読むこともできます。

鑑賞文を配る。
前回と同じく、400字詰め原稿用紙の右側(200字)に教師が書いた鑑賞文を載せてある。

鑑賞文
 作者は、人生の大きな悩みにぶつかっている。たとえば結婚を選ぶか仕事を選ぶか、というような重大な悩みである。髪を洗いながらも、そのことが頭から離れない。閉じた目を伝って流れ落ちる水も気にならないほど、そのことを強く思い続けているのである。
 悩みが頭から離れないということは、「せつせつと」という言葉から分かる。「せつせつと」とは、「心に強くせまる」という意味だからである。

これを参考にして、自分なりの鑑賞文を書くように指示する。


生徒の鑑賞文

作者は、戦争の時代の人で、自分は助かったが家族はみんな死んでしまった。保護された場所で髪を洗っている時、家族のことを思い出し、目から流れる水も気にならないほど、家族のことを思い続けているのである。(以下略)

毎日ふろにも入らず仕事も休み、病気の夫のいる病院で夫を側で見守っていた。だがついに夫は死んでしまう。一人静かな家に帰り、ふろに何日も入っていないことに気づく。久しぶりに髪を洗おうとすると、シャワーも浴びていないのに顔がぬれていることに気づく。ふろに入ってさっぱりするものの、心はまだどんよりくもったままである。



補足
鑑賞文をそのまま写した生徒が約4分の1、少しアレンジして書いた生徒が約4分の3弱、自分なりの鑑賞文を書いた生徒が4名であった。
村上睦俳句の可能性(2)
最終更新時間:2010年07月18日 20時31分54秒

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