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板書 どの子にも涼しく風の吹く日かな 飯田龍太
その後、追い読み、一斉読みで数回読む。
書けたら持ってこさせ、板書させる。
板書したものを発表させ、必要があればくわしく説明させる。
・涼しい風が吹いている。
・子どもがたくさんいる。
・たくさんの子どもたちがハイキングをしている情景。(絵)
・子どもたちが遊んでいる情景。(絵)
句の季節を聞くと、「春」「夏」「秋」に分かれた。
「涼しく」
「夏」
板書 季節を表す言葉=季語
五・七・五の音。
板書 五・七・五のリズム=定型
「季語」と「定型」をまとめて「有季定型」と板書。
ワークシートを配る。
400字詰め原稿用紙の右側(200字)に、教師の書いた鑑賞文が載せてある。
鑑賞文を一度、範読する。
2段落構成で、1段落目では俳句の情景の説明、2段落目ではその根拠を句の中の言葉を元に述べていることを説明する。
板書 せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ 野澤節子
その後、追い読み、一斉読みで数回読む。
「せつせつと」「濡らして」「髪洗う」が出る。
「髪洗う」であることを教える。
「夏」
髪を洗っている。
(俳句はほとんど作者=話者なので、ここでは特に区別せずに扱った。)
ノートに書かせて持ってこさせ、板書させる。
・暑いのでさっぱりしたい(多数)
・悲しい気持ち(2名)
この句のポイントは「せつせつと」という言葉です。
辞書を調べさせた。
・心に強くせまる様子
漢字で書くと「切々と」であることも確認する。
列指名で聞いた。
ほとんどが「悲しい気持ち」という答えであった。
鑑賞文を配る。
前回と同じく、400字詰め原稿用紙の右側(200字)に教師が書いた鑑賞文を載せてある。
これを参考にして、自分なりの鑑賞文を書くように指示する。
生徒の鑑賞文
作者は、戦争の時代の人で、自分は助かったが家族はみんな死んでしまった。保護された場所で髪を洗っている時、家族のことを思い出し、目から流れる水も気にならないほど、家族のことを思い続けているのである。(以下略)
毎日ふろにも入らず仕事も休み、病気の夫のいる病院で夫を側で見守っていた。だがついに夫は死んでしまう。一人静かな家に帰り、ふろに何日も入っていないことに気づく。久しぶりに髪を洗おうとすると、シャワーも浴びていないのに顔がぬれていることに気づく。ふろに入ってさっぱりするものの、心はまだどんよりくもったままである。
板書 虫の夜の星空に浮く地球かな 大峯あきら
その後、追い読み、一斉読みで数回読む。
・虫
・星空
・地球
・月
挙手で聞くと「見えている」が少数、「見えていない」が多数であった。
理由をノートに書かせ、発表させた。
(見えている)
・虫は蛍である。だから見えている。
(見えていない)
・作者は星空を見上げている。だから虫は見ていない。
・あたりは暗くて虫は見えない。
ノートに書かせ、持ってこさせた。
・「虫」と「星空」
・「虫」と「地球」
・「星空」と「地球」
3者(虫、星空、地球)が三角関係のように、それぞれ対比になり得ることを板書で説明した。
中に、「虫の鳴き声があたりに響いている様子」と「星たちが夜空にまたたいている様子」という、「状況」の対比を書いた生徒がいたので、発表させて大いにほめた。
鑑賞文を配る。
前回と同じく、400字詰め原稿用紙の右側(200字)に教師が書いた鑑賞文を載せてある。
これを参考にして、自分なりの鑑賞文を書くように指示する。
生徒の鑑賞文
もうずっと前に陽は沈み、月や星たちがきらきらと輝き始めた秋の夜。作者はたんぼ道をとぼとぼ歩いていた。と、色んな虫たちが合唱しているかのように鳴き始めた。ふと空を見ると、黒い海の中に青白い光がいくつもあった。それらの光景に感動し、自分は一人ではなく、みんなによって生かされているのだと思った。
「虫」と「地球」とが対比され、命の大きさ、広さをより強調している。
秋の夜、作者は外に出て蛍の飛びかっているところを眺めている。さながら星空のようだと思っていると、空を覆っていた雲がすっかり晴れ、満天の星空があらわれたような情景が読みとれる。
作者は、蛍と星空の二つを対比し、「虫」と「地球」、つまり生命の大きさの違いに触れ、自分達は大きな地球の中で生きている小さな生命に過ぎないのだという、生命の儚さを強調している。
教科書で尾崎放哉「咳をしても一人」の句を読む。
追い読み、一斉読みなどで数回読む。
「せきを・しても・ひとり」
5・7・5
教科書P60の8行目〜10行目を追い読みで読む。
自由律俳句
津沢マサ子「灰色の象のかたちを見にゆかん」の句を読む。
追い読み、一斉読みなどで数回読む。
教科書10行目〜12行目を追い読みで読む。
無季俳句
違いを簡単に説明する。
板書 ┌────┬────┬────┐ │ │ 有季 │ 無季 │ ├────┼────┼────┤ │ 定型 │ │ │ ├────┼────┼────┤ │ 自由律 │ │ │ └────┴────┴────┘
ノートに写させ、空欄を埋めるように指示する。
教科書に載っている16句の中から7句を指定して、印を付けさせる。
7句を一通り音読する。
書き方を説明する。
生徒の鑑賞文
ちるさくら海あをければ海へちる 高屋窓秋
春の天気の良い日、作者は海岸沿いを一人で歩いていた。ふと近くの島を見ると、一本の桜の木があり、桜がきれいに咲いている。少し風が吹いて、花びらが海へと散り、水面に浮かぶ景色がとてもきれいで見とれている。
「さくら」という言葉から、季節は春だということがわかる。桜の花びらの淡いピンクと、海の深い青が対比されていて、とてもきれいな風景を表現している。
私は、この詩を読んで、「ちる」という言葉があるので、何か悲しいことを表した詩なのかと思いました。でも、よく読むと、さくらと海が対比されていることに気づきました。海の青にちる、桜のピンクがとてもきれいなので、作者のすがすがしい気持ちが表れていると思います。少し、息詰まることがあっても、それを別の方向からみてみると、よくも考えられるのではないかと思いました。
咳をする母を見上げてゐる子かな 中村汀女
この句は、風邪をひいている母を心配する子の姿を表現している。子はまだ小学校に行っていなくて、いつものように母と遊んでもらおうと思ったら、いつも元気な母がつらそうに咳をしていた。すると子は心配になり、「どうしたの?」と母を見上げたのである。
「見上げてゐる」という言葉から、子がまだ小さいことがわかる。
私は、この俳句の子は、いつも通り遊んでもらおうと笑顔でお母さんのところにいったら、いつも元気なお母さんがつらそうにせきをしていて、「どうしたんだろう」ととても心配になったんだと思う。きっとこのお母さんはいつもやさしいお母さんだったんだと思う。それだけに、子の心配も、とても大きかったと思う。この俳句は母と子の愛情を、表現しているんだと思った。
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