主人公の少年が父親と別れる場面を、数回音読する。
最後なので自力で挑戦するように指示する。
書けた生徒はノートを提出し、国語のワークをやっているように指示。
以下、生徒の書いた解説。
少年は、「さいなら」と言うつもりだったが、うっかり「えんびフライ」と言ってしまった。このことから、「また買ってきて」というのを言いたかったが、ためらって言えず、でも頭の中では「えんびフライ」が忘れられずにいたため、つい出てきてしまったのだと考えられる。P87・L7の「いつもより少し手荒くて、それで頭が混乱した」という所から、少年が頭をなでられた時に「もう言えるチャンスがない」と少しあきらめていたために、よりいっそう「えんびフライ」のことが頭から離れなくなってしまったのである。それから言ってしまい、お父さんが苦笑いしたところまでは後悔の気持ちでいっぱいだったが、P87・L17「また買ってくるすけ…。」と言ってくれて安心したという気持ちと、今度の正月が楽しみになったという気持ちが読みとれる。
少年は、父親と別れる時「えんびフライ」と言った。しかしそれは「えびフライ」が食べたいということではなく、父親と別れるさみしさを隠そうとして、何か言おうとしたら「えびフライ」と言ってしまったと考えられる。これは、P86・L15「なぜだか不意にしゃくり上げそうになって、とっさに『冬だら、ドライアイスもいらねべな。』と言った。」という所からも分かる。父親とはもう、正月まで会えないという気持ちを隠すために、つい、そういう言葉が出てしまったのだ。少年は、父親と別れるのが、本当にさみしいと思う気持ちなのだということが分かる。
少年は、「さいなら」と言うつもりだったが「えんびフライ」とうっかり言ってしまった。これは、父親がいつもより手荒くて、もしかするともう帰ってこないのかもしれないと思い、頭が混乱したからだと思われる。えんびフライと言ったのは、父親が帰ってくることの象徴だからである。「えんびフライ」には、少年の、また帰ってきてほしいという思いがこめられていると考えられる。母を失った少年だからこそ、父親を大切に思っているのだろう。
ほとんどの生徒が、自力で主人公の気持ちを説明することができた。
[通知用URL]