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- 概要
- 『走れメロス』で討論を仕組む。主発問は「メロスは勇者か」。(TOSS福井推薦)
- 『走れメロス』で討論(1)
- 『走れメロス』で討論(2)
- 『走れメロス』で討論(3)
- 『走れメロス』で討論(4)
- 『走れメロス』で討論(5)
- 概要
- 第1時〜第2時。作品を通読し、感想を書く。
1人ずつ立って読んでいく。
詰まったり間違えたりしたら、次の生徒に交替する。
1時間で「四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。」まで読めた。
続きを「いきなり読み」で音読していく。
読み終わったら、
時間いっぱい書かせて終了。
- 概要
- 第3時〜第5時。作品を6場面に分け、場面要約していく。
1場面 最初〜「あきれた王だ。生かしておけぬ。」まで
2場面 〜「初夏、満天の星である。」まで
3場面 〜「…羊小屋に潜り込んで、死んだように深く眠った。」まで
4場面 〜「…四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。」まで
5場面 〜「…メロスは疾風のごとく刑場に突入した。間に合った。」まで
6場面 〜最後
見せに来たらノートに丸をつけて黒板に書かせる。
黒板がいっぱいになったら、採点していく。
何人か指名して確認する。
満点の答えが出ていれば、それを写させる。
満点がなければ、教師の答えを板書して写させる。
以下、場面ごとに同様にくり返していく。(1時間で2場面ずつ)
要約
1場面 人を信じずに殺す王に激怒するメロス。(18字)
2場面 親友を人質に三日間で戻るというメロス。(19字)
3場面 妹の結婚式を挙げ村に未練を感じるメロス。(20字)
4場面 困難のため、信じる心を失いかけるメロス。(20字)
5場面 希望を取り戻し再び走り出すメロス。(17字)
6場面 約束を果たし王の心に勝ったメロス。(17字)
- 概要
- 第6時〜第7時。主発問「メロスは何のために走っているのか」で討論をする。
出た意見を教師が板書していく。
全部で7種類出た。
- 愛と誠の力を王に知らせるため。
- 友との友情のため。
- 恐ろしくて大きいもののため。(=正義と愛と信実)
- 自分のため。(=理想の自分、プライド)
- 友人のため。
- 友の信頼に報いるため。
- 名誉を守るため。
- 補足
- 前回出た意見を覚えていない生徒が多かった。ノートにすべて書かせるか、もう一度板書すると良かった。
- 概要
- 第8時〜第9時。主発問「メロスは勇者か」で討論をする。
挙手で人数を確認。
「勇者と言える」が大多数。「勇者とは言えない」が3人であった。
発表させながら、根拠を板書していく。
- 補足
- この時間も、前回の意見を覚えていない生徒が多かった。時間をまたいで討論をする時は、前回の意見を忘れないようにする工夫が必要だと感じた。
- 概要
- 第10時。最終的なまとめを原稿用紙に清書する。
原稿用紙を配り、題名「メロスは勇者か」、名前を書かせる。
時間いっぱい書かせて、残りは宿題とした。
- 生徒の作文
- メロスは勇者ではないと思う。まず、メロスは何のために走っているのかについて考えてみると、P169L19から「私は信頼に報いなければならぬ。」ということが読みとれる。それは、P171L11にも書いてあるように、メロスはセリヌンティウスの命を助けるために走っているわけではないと考える。自分の親友を、王に差し出しているという時点で、勇者とは言いがたい。それに、友の命は問題ではないと言っているので、最初から助ける気になかったのだろう。お互いを信じているため、それを裏切らないようにするために走っているだけなのだ。また、それは、間に合わなかった際は、自分が走っていたことをセリヌンティウスに伝えてくれれば、彼は理解してくれる、そこまでの信頼があったと推測できる。このように、メロスは友との信頼に報いるために走っているだけで、助けるために走っているのではないのだ。ほかにも、自分のために走っているという意見もある。だが、自分は殺されるというのは分かっているので、自分のために走るのなら、助かりたいのだからP171L16「頭は空っぽ」になるまで走らない。
また、メロスは一度、あきらめようとしている。一度あきらめてしまったら、勇者とはいえないと思う。
そして、P168L17「遅れたら、身代わりを殺して、私を助けてくれると約束した。」と書いてある。これは、ただの悪い夢なのかもしれない。だが私は、これがメロスの本心であって、自分が助かりたいという気持ちが読みとれる。
P170L3「真の勇者」というのは、自分自身を勇気づけるために自分で言っているだけで、事実ではない。また、P174L11「勇者」は、かわいい娘さんは、メロスに好意をもち、メロスが勇者だという印象をもっただけだと考えられる。それに、たまたまP174L7「緋のマント」だったことで、勇者のように見えただけだと推測できる。
このようなことから、一度あきらめたメロスは、あのままあきらめていたら、友を救うことができなかった。自分の言動に責任をもてていない人間なのである。なのでメロスは勇者ではないと思う。
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