母が疎開先を探すため、「僕」たちを連れて親戚を訪ねる場面を読む。
そのときの顔を、僕は今でも忘れません。
という部分に線を引く。
僕たち子供を必死で守ってくれる母の顔は、美しいです。
書けた生徒から板書させた。
最後に教師の考えを説明したが、自分でもよくまとまっていなかった。
取り上げた場面は以下である。
あまり空襲がひどくなってきたので、母は疎開しようと言いだしました。それである日、祖母と四歳の妹に留守番を頼んで、母が弟をおんぶして僕と三人で、しんせきのいる田舎へ出かけました。ところが、しんせきの人は、はるばる出かけてきた母と弟と僕を見るなり、うちに食べ物はないと言いました。僕たちは食べ物をもらいに行ったのではなかったのです。引っ越しの相談に行ったのに。母はそれを聞くなり、僕に帰ろうと言って、くるりと後ろを向いて帰りました。
そのときの顔を、僕は今でも忘れません。強い顔でした。でも悲しい悲しい顔でした。僕はあんなに美しい顔を見たことはありません。僕たち子供を必死で守ってくれる母の顔は、美しいです。
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