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村上睦/アニャンゴ流「夢をつかむ法則」


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TOSSランド No.6858094

アニャンゴ流「夢をつかむ法則」


TOSS福井 村上睦

概要
アニャンゴ(向山恵理子さん)の生き方から、夢を実現するために大切なことを学ぶ。ニャティティの奏者として認められ、活躍するまでのエピソードを通して、「あこがれを持つ」「今すぐ行動する」「あきらめない」といったキーワードを引き出す。(TOSS福井推薦)


ニューズウィークという雑誌があります。
毎年「世界が尊敬する日本人100人」という特集をしています。

これまでの特集で、どんな日本人の名前が入っていると思いますか?


有名な日本人に並んで、向山恵理子さんという人が入っています。

向山恵理子さんの職業は何でしょう?


ライブ映像(PV)を見せる。

恵理子さんは、ニャティティという楽器の演奏者です。
ニャティティはアフリカ、ケニアのルオー族に伝わる伝統楽器です。
恵理子さんは、ニャティティを演奏する世界初の日本人なのです。

恵理子さんは、24歳の時にニャティティの修業のためにケニアに行きました。

ケニアにあるニャティティ発祥の地、カラプール村まで、日本からどれぐらいかかると思いますか?

(GoogleEarthで日本からケニアに飛び、位置関係と距離感をつかませる。)
日本から飛行機と車と徒歩で30時間以上かかります。
恵理子さんはこの村で8ヶ月間、師匠の家に住み込んで生活しました。
現地では「アニャンゴ」という愛称で呼ばれました。
アニャンゴとはルオー語で「午前中に生まれた女の子」という意味です。

東京で生まれ育った若い女性が、ケニアの奥地で生活したのです。どんな苦労があったと思いますか?

意見を出させながら、必要に応じて以下の説明をする。

  • 水道はない。水くみのために毎日往復1時間歩く。
  • 風呂は週2回。洗面器2杯の水で全身を洗う。
  • 電気・ガスも当然ない。たきぎを拾って火をおこして食事を作る。
  • 猛獣や毒蛇の危険。毒草にさわると失明する。
  • トイレは近くの藪の中。夜は牛泥棒が出るから外には出られない。
  • 言葉はスワヒリ語とルオー語。アニャンゴは日本でスワヒリ語の猛勉強をしていった。
  • マラリアに3回感染した。病院まで自分で2時間かけて歩いていく。

なぜ、そこまでしてニャティティを弾きたいと思ったのでしょうか?

高校生のころバンド活動をしていたアニャンゴは、「プロの歌い手になりたい」という夢を持っていました。
そのために、こんな努力をしていました。

  • 発声法をトレーニングする学校に通う。
  • プロの声楽家の個人レッスンを受ける。
  • ピアノの練習。
  • 表現力を高めるために現代舞踊を習う。
  • ヨガ
  • 中国拳法

しかし、「どんな歌い手になりたいのか」「どんな歌を歌いたいのか」ということは、まだ漠然としていました。

22歳の時にアニャンゴは、たまたまケニアの音楽ライブを見に行きました。
その時に、こう思いました。

聞いた瞬間、太鼓の強烈なビートにノックアウトされた。次から次へと激しく変化するリズム。そう、私はあの時きっと、ケニアの音楽にひとめぼれしてしまったのだ。


そして、その日のうちにそのバンドのメンバーになってしまいます。
また、ケニアで本場のトップダンサーの踊りを見た時、アニャンゴは思いました。

私もいつか炎のような歌を歌いたい。狼の歌を歌いたい。人を震え上がらせるほどにすごみのある歌を歌いたい。と、心の底から思ったのだった。


ケニアでのニャティティ修業は、順調だったでしょうか?

最初、カラプール村の師匠に弟子入りをお願いした時には、こう言われました。

「なんで外国人がニャティティを習いたいのだ」

「女がニャティティを習いたいなんて言い出す意味が分からない」


なぜなら、ニャティティはルオー族に伝わる伝統楽器で、ルオー族の中でも選ばれた男性にしか弾くことを許されていない楽器だからです。
日本から来た若い女性が「ニャティティを教えてほしい」というのは、たとえて言うなら「日本の相撲部屋にケニアの女性が弟子入りする」というくらい、ありえないことなのです。

それでもアニャンゴは、村で一緒に生活するうちに、少しずつニャティティの演奏を教えてもらえるようになりました。
しかし、師匠は手取り足取り教えてくれるわけではありません。
ニャティティは、ガラ(鉄の鈴)を右足首につけ,オドゥオンゴ(鉄の輪)を右足親指につけ、それをニャティティにゴツゴツと当ててリズムを取りながら、同時に8本の弦を指で弾いて歌います。
師匠は、アニャンゴが生まれて初めて聞くニャティティの曲とルオー語の歌を超高速で2、3回やってみせて、「弾きなさい」と言うだけ。あとはどこかへ行ってしまって、自分で弾けるようになるまで自主練習するしかないのです。

こんな教え方に対して、アニャンゴはどうしたと思いますか?

アニャンゴはこう思いました。

ここで引き下がるわけにはいかない。へこたれるわけにはいかない。MDに録音して、自主練習をして、絶対にできるようになってみせる。

そして、自分で工夫してニャティティの楽譜を作ったり、演奏法をノートに書いたりしながら、覚えました。
師匠が教えてくれるのは、週に1回か2回程度。
それも、「今日は牛のことが気がかりで頭がいっぱいだ」とか「今日はニャティティの精霊がやってこないから弾いてはいけない」などと言って、気が向いた時しか教えてくれません。
アニャンゴはこう言っています。

本物の名人に弟子入りして芸事を習うとは、こういうことなんだ。


修業を始めて8ヶ月。
いよいよニャティティ奏者として認められるかどうかを決める認定試験が行われました。
ところが、アニャンゴの演奏が始まってしばらくすると、突然,師匠が演奏を中断させました。

なぜ演奏を止めたのでしょうか?

師匠は、聞いている村人たちにこう言いました。

ここから先,私の弟子の演奏を聞きたければ,金を払え!


アニャンゴがプロのニャティティ奏者として認められた瞬間でした。

その時の演奏がケニアのラジオ番組で放送されたのをきっかけに、ケニアでアニャンゴブームが巻き起こりました。
そして国連が主催するSTOPエイズコンサートに出演を依頼されました。
ホマベイという小さな町で行われたコンサート。

どれぐらいのお客さんが集まったと思いますか?

5万人の観客が集まりました。
「大統領でも来ない限りありえない」という騒ぎでした。
ケニアの友人はこんなふうに言いました。

ケニアにも素晴らしい音楽と文化がある。アニャンゴはそれに気づかせてくれた。だからみんな何十時間もかけてアニャンゴに会いに来たんだよ。


アニャンゴは現在、日本とケニアの文化親善大使として、様々な活動を各地で行っています。
また、ケニアの伝統音楽を知ってもらうためのライブ活動を続けています。

さて、ここで自分たちのことを振り返ってみましょう。
(5月に書いた自分たちの夢や目標を思い出させる。)

みなさんが、自分の夢や目標を実現するために大切なことは何でしょうか?

・あきらめないこと
・一生懸命やること
・時間を有効に使うこと
・感謝の気持ちを忘れないこと


補足
「自分の夢を実現するために」という発問だったため、授業で扱ったアニャンゴの生き方とは直接関係のない答えもいくつか出てきた。


アニャンゴは本の中で「夢をつかむ法則」を紹介しています。
(本のページをコピーした資料を配る。)

夢をつかむ第一歩は、あのような素敵な人になりたい、自分はこうなりたい、というあこがれを持つこと。(抜粋)

準備や計画ができるまで待つ、なんて言っていたら、いつまでたっても一歩を踏み出せなくなる。夢をつかみたいのなら、不完全でもいいから、その夢に向かって『今すぐ』最初の一歩を踏み出そう。(抜粋)


いつも笑顔で、夢に向かって、今できる努力を積み重ねていくしかないんだ。自分を信じて、覚悟を決めて、努力し続けていれば、夢の扉が少しずつ開いてくる。百回転んでも、千回倒れても立ち上がるんだよ。(抜粋)


自分で大事だなと思う所に線を引きなさい。

線を引いた箇所を発表させる。

授業の感想を書きなさい。




参考文献
『夢をつかむ法則』向山恵理子/角川学芸出版(2009)


使用コンテンツ(SMART Notebook・Google Earth使用)をご希望の方は村上睦までメールにてご連絡下さい。

※ライブ映像(PV)は、YouTubeで公開されているものをダウンロードして使用しました。

村上睦アニャンゴ流「夢をつかむ法則」
最終更新時間:2010年06月30日 11時09分21秒

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